098【Specialist Column】(長井美有紀)化粧品と生物多様性について考える

5月22日は「生物多様性の日」ということで、本サイトの特集記事にちなんで、私も化粧品と生物多様性について考えてみたいと思います。

美容液やクリームなどの保湿剤として配合されているスクワランオイルは、サメ由来のものが多いですね。そもそもサメは、ヒレや肉、肝油など様々な用途の製品があり、各業界で世界的に需要が高いものでした。化粧品の場合は、この「肝油」から抽出したものがスクワランオイルになるわけですが、海外のConservation Genetics論文によれば、ある特定のDNA検出手法で化粧品やペットフードなどから原料のサメのDNAを検出して属や種レベルまで特定すると、調査した化粧品の中の約1/3に絶滅危惧種のサメの遺伝子であることがわかりました。

当然のことながら、絶滅危惧種に指定されている生物の商業利用は種の保存のためには良くないこととされています。生物多様性やサステナビリティを考えるうえで、企業側もその旨を認識、そして正しく表示(ラベル)しなければなりません。化粧品は、OEMメーカーが製造を担うケースがあったり、化粧品の原料を製造する原料メーカーも存在します。もちろん化粧品メーカーが製品中のすべて把握している必要がありますが、メーカー側の環境に対する知識レベルがないとなかなかこの重要性には気づけないと思います。ましてや、正しく表示されなければ(海外では正しく表示することを「クリーンラベル」といいます)、消費者にとっても製品中の原料に絶滅危惧種が採用されていないかどうか、知る由もありません。生物多様性やサステナビリティが製品選定の要素のひとつとしている消費者にとってすれば、正しくメーカーが表示してもらわないと、正しく選定することができないでしょう。

生物多様性を考えるうえで、絶滅危惧種を救う(=そういった商品を選ばない)というのも一つの方法です。小さいですが、一人ひとりの思いが大きな一歩とつながるのではないでしょうか。